tiaranonikkiのブログ

ティアラの毎日.思いついたこと、感じたことを、素直に書いています。

義父の話 2

終戦になる直前だった。戦争で、いろいろな物資が不足していた。飛行機の燃料も不足し
ていた。本来は、飛行機は、目的地へ向かって行って、爆弾を落とし、帰って来るものな
のだが、もう、その燃料も底をつきかけていた。だから、片道だけの燃料を積んで、適地
へ突っこむのだ。突っこむと同時に、自分も死ぬのだ。今でいう自殺行為だ。
 その飛行機に乗る日が決まった。その前日は、いろいろなことを考えて、よく眠れなか
った。うまくいくのか、・・うまくいかせなければならない。自分の人生は、明日で終わ
る。そうこうしているうちに、当日になった。
 緊張していた。やがて、自分の番号を呼ばれ、飛行機に乗ろうと歩き出した。すると、
後ろから走ってくる人が、私を追い越し、私が乗る予定だった飛行機に乗り、飛び立って
しまった。私は、一瞬ポカンとした。そして、自分が乗れる飛行機はないか、見渡した。
しかし、飛行機はなく、そのまま終戦。
 家族は、私を喜んで迎えてくれた。しかし、私の心は、複雑だった。いつも、あの時の
ことを忘れたことはない。」


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