tiaranonikkiのブログ

ティアラの毎日.思いついたこと、感じたことを、素直に書いています。

義父の話 1

義父は、普段はとても静かで、まじめな人でした。しかし、酒が入ってしまうと、ベラべ
ラしゃべりまくり、時に、人の心をきずつけたり、わけのわからないことを言ったり、か
と思うと、時々、大まじめな話をしたりして、とにかく、わけのわからない人でした。
ただ、この話だけは、何度も間違えずに、話をしていました。
 「私は、死にそこなった。おおぜいの人が、戦争で死んでいったのに、私は生きていた
のだ。死んでいった人たちに、申し訳ない。私も死ぬ予定だった。なのに、生きていた。
当時は、お国のためといって、皆、若者は、志願した。そういう国の教育もされていた。
内心は、こわかった。というより、なんともいえない、えたいのしれない、こわさがあっ
た。だけど、こわい、ということはできなかった。臆病者、と思われ、家族の者が困って
しまう。そんな時代だった。



にほんブログ村 ちょっといい話

×

非ログインユーザーとして返信する